2011年07月30日

日本ではほぼ「お蔵入り」

日本ではほぼ「お蔵入り」だったが、ロケから3年経ての発売。フジテレビの子会社(FCI)が製作した本作は、韓国では2007年にTV放映されたものだ。
贅沢に「全編マンハッタンロケ」で撮られた日韓男女ののラブストーリーだが、出来は「どうした?森淳一」という感じだ(笑)。

森監督といえば「ランドリー」「重力ピエロ」などの名作を手掛けてきた。
それが今回はどうしたことか?
30日間のマンハッタンロケの甲斐なく、日本の深夜とかにOAされる韓国のチープなTVドラマを観ている印象だ。

まず、なぜ言語が吹き替えなのか?日本人は日本語を、韓国人はハングルを、アメリカ人は英語で喋れ!(笑)
口元を見れば、もちろん各国の俳優たちは自国語で会話しているのだが、なぜか日本語または韓国語の選択しかできない。

インタビューで鈴木亜美が「イワンがハングル、私が日本語でセリフを言うので、雰囲気が掴みにくかった」という意味のことを
語っていたが、まさにその通り。俳優が戸惑うものを、観客が理解できるはずもない。

主演の鈴木亜美とイワンはセントラルパークで出会うのだが、ミキがアメリカのワルたちに絡まれているところを助ける重要な
シーンで、ワルのアメリカ人役のふたりが日本語吹き替えの時点で、もう完全に興ざめである。ハングルで観ても結果は同じだろう。

鈴木亜美は「エクスクロス」や「虹の女神」くらいしか本編出演がないが、舌足らずな点を除けば、もっと映画に出て欲しい人だ。
今回もショートカットが可愛かったが、インタビュー時はロングヘアーであり、撮影からのタイムラグを感じさせる。

2007年に撮られたものが2010年秋に発売とは、あの迷作「昴」並みだが(笑)、これは発売に躊躇するよなあ・・・。
森監督もキャリアから消したい1本かも知れないね。

特典映像は主演ふたりのインタビューが15分ほど収録されている。
作品は全くダメだが、大好きなマンハッタンということで、大甘の2つ星です。

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2011年07月29日

離れるに離れられない女性たち

西原漫画の映画化にハズレなし
しょぼくれた町、そして『だめんず』からも離れるに離れられない女性たちのお話です。という部分では、いつものサイバラ調です。でも今回は、ちょっとミステリーぽい話でもあります。そういえば、「いけちゃんとぼく」もファンタジーであるけど、ある意味ミステリーか。
今回の主人公たち3人の世代設定は、いわゆる『アラサァ』って辺り。菅野美穂は子連れの出戻り、小池栄子はフィリピンパブのママ、池脇千鶴は暴力男の間を転々とする、選球眼に難のある女性。(苦笑) 登場人物がみな男運がない。(笑) でもそれぞれの人生物語は壮絶なんだけど、支えあっていてあたたかい。
愛人の家に入り浸るなおこの義父(宇崎竜童がイイ感じ(笑))、みっちゃんの目の前でホステスを口説く彼女の夫、ホームレスになったともちゃんの夫(山下敦
弘監督作品でおなじみ、山本浩司のいかにものダメっぷりがイイ)など、出てくる男たちは甲斐性なしの人間ばかり。こんなクズどもは放っておいたほうがよいと思えるのに、それでも彼女たちは見捨てない。愛されるよりも愛することを選び、情けない男のために尽くすことが習い性になった女たちの「いつも恋していたい」という言い訳がいとおしい。
猫が死んだ時おお泣きした友達のともちゃんが、旦那が死んだ時は、けろりとしてたり、浮気旦那と別れても金を渡すみっちゃん。他人が見たらなんで?って思える夫婦にしかわからない絆や溝や恨みや愛なんかがあるんだろうな。

そして、クライマックス。あらためて思い知ることになります。友達は勿論、単に下品なおばはんとしか映らなかった『パーマネント野ばら』の客たちが、こんな慈しみを秘めていたなんて!! 同じ土地で同じように生きてきた女性同士ならではの、『理解』と『庇護(やさしさ)』。これは、ある意味凄いし、深いです。

前半は、笑えて、ラストは切なくなる作品。"人生色んな事があっていいじゃん"と思える反面、最後は本当に切なかった。優しいけど、切なすぎる、、、。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」、「クヒオ大佐」に続く吉田大八監督の最新作。
原作者が西原理恵子である事と菅野美穂、江口洋介、小池栄子らが主要キャストである事以外、何の情報も持たずに観たが、まさかこんな展開になるとは、、、。
ある寂れた港町でのただひとつの美容院パーマネント野ばら。ここに集まる常連客の熟女?たちは、店主の夏木マリを始め、幾つになっても男好きな人たち、日々猥談に興じながら、かしましい事この上ない(笑)。
その一方で、オトコへのそんな吹っ切れ感など無縁な3人の女性たち。みんな誰かを愛したい、愛されたい、でも、愛したくても満たされない、上手くいかない愛。悲しい秘密と淋しさを秘めながら、男運がない事を引きずっている幼な友達たち。
かなりブラックでシュールなユーモアに笑いながらも、やっぱりこれは儚くて淋しい恋愛映画。
終盤からドラマは急展開し、観る者を動揺させるが、壊れかかってしまうような危うくて脆い精神を優しく包容してくれるラストが救いだ。
苦悩し、ヘヴィな気持ちで一杯一杯な部分で生きている人たちへ勇気を与えてくれるような優しい作品。
かけがえのない友情、その思いやりに心打たれながらも、でも、やっぱり切なすぎる。
パーマネント野ばら [DVD]
ニックネーム K at 22:03 | DVD

2011年06月28日

すっきりが倍増

幸福の神様を呼び寄せたいですね
整理整頓って日ごろのちょっとした意識で簡単にできることだったのですね。
「お掃除本」はたくさん出回っていますが、パラパラと見たところではなかなか実践しにくい印象の
本にしか出合えませんでした。
この本は、不思議と「なんだ! 私にもできる!」と思わせてくれた本です。
幸福の神様…すてきな響きですね。
おかげで素手で毎日するトイレ掃除が全く苦にならなくなりました。
お掃除しないほうが、一日のスタートがうまくできない感じ。

読みやすいw
この手の本は、読みやすさがなければ役に立たない。
頭の中に情報だけを入れておけば、気が向いたときに実践できると思う。
掃除本のとっかかりとしては、大変優秀だと思われます。
他に色々見て、実践している人にとっては物足りないですね。

「すっきり」お掃除がしたくなります!
雑誌でこの本が紹介されていて、思わず購入しました。
掃除のやりかたもいろいろ載っていて参考になりますが、
1番「なるほど!」と思ったのは、掃除は「すっきり」する気持ちが
大事だということ。掃除をただの家事としてではなく、
気持ちが「すっきり」するためだと思うと、終わったあとの気持ちが
全然違います。なんだか、スピリチュアルなお掃除の本に感じました。
当たり前のいつもの掃除が、ちょっとした工夫で、すっきりが倍増。
読んだらすぐに「すっきり」お掃除をしたくなる、そんな本です。




スッキリ・簡単!「新お掃除」の法則―あなたの24時間が変わります! (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)
土田 俊子


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ニックネーム K at 00:06 | 日記

2011年06月26日

私にとっては感動的な出来事

人生で初めて3日以上続いている家計簿


家計簿が続かず、困っていた私に会社の上司がプレゼントしてくれたのが本書である。日記、小遣い帖その他あらゆる書き物が続いたためしがなかったが、本書は続けたくなる家計簿である。
他の市販の家計簿は、既に家計簿はこうあるべきというフォーマットが決まっていて、実際に使ってみると、使用しない項目が多く、細分化しすぎていて非常に使いづらい。結果として、多くの私の友人は三日坊主になり、「えーい、金はでていく時にはでていくんだー」と開き直って、その後一生つけない。
その点、本書は非常にシンプルなつくりになっており、また項目も自分で決められるので自分の生活にあった家計簿を作ることができる。しかも文庫本サイズなので、小さなカバンにもはいり、常に持ち歩けるので1日のうちちょっとあいた時間で書くことができる。
本書に出会い、継続的に家計簿をつけることの重要性を再認識した。自分の生活を見直すことができ、無駄も省けるようになる。また、毎日の買い物以外にもスケジュール欄に簡単な日記をつけることもできる。これまで日記も小遣い帖も続かなかった私にとっては感動的な出来事である。
著者のように35年ローンを5年で返済するのは大変だと思うが、本書を使うことでお金を上手に使えるようになることは間違いない。

「節約生活のススメ」の山崎さんの家計簿!


「節約生活のススメ」というベストセラーがありましたが、あの本の強烈なところは「35年ローンを7年で返す」というところ。著者の山崎さんは家計簿をきっちり付けている人だろうなあ、と思っていたら、この本のような家計簿を作っていたそうです。たしかに、長く続けることができそうな、簡単なそれでいてお金の管理がしっかりできるアイディアが詰まってます。来年はこれで小遣いをチェックしてみる予定。

わたしのお金ノート―節約生活 (2001) (祥伝社黄金文庫)
山崎 えり子

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ニックネーム K at 22:27 | 日記

方法の取捨選択で役立つかも

 この本には「よくぞこんなことまで考えたな」と思うような336個の節約のノウハウが満載されています。その中にはかなり手間がかかって、よほど暇な人でないと実現不可能なものや、育児や娯楽に関するものなど人によっては全く関係ないものまであります。
 しかし節約方法の取捨選択のしようで少しは家計の節約に役立つものもあるのではないでしょうか。特に食費編や公共料金編などは多くの人に関係するところがあると思います。
 またこの本に書いていることをただそのまま実行するのではなくて、アレンジして実行するという考え方も大切だと思います。要は人それぞれの生活習慣に応じて自分に合った方法を選択し、その人なりの方法で実行すればある程度の節約は実現できると思います。

336のうち一つでもできればいいと思う


タイトルの通り、ズバリ336の「節約方法」が載っている。内容は「食費編」から「娯楽編」まで多岐に渡り、はっきり言ってここまで多いと、かえって全部やらなくてもいいんだという安心感が生まれると思う。

 336全部を実行するのは不可能だし、中には「時間に余裕のある専業主婦でなければできないよ」と言いたくなるのもあるし、自治体が違ったりして物理的に不可能なものもある。節約本に「マイカー編」があるのも不思議。車なんて、ないのが一番節約なのでは。

 しかし、楽にできることだけを実行するのはお勧め。私は電気の契約アンペアを30アンペアから20アンペアに下げた。何もしないで月約200円お得になるのは楽だし、いいことだと思う。

 この本は、さらりと読んだ方がいいでしょう。真面目に実行しようとすると(そんな人はいないか)頭が痛くなるかも知れない。

必ず月6万円節約できる本―今日からできる生活防衛336ポイント
家計費節約研究会
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ニックネーム K at 19:07 | 日記

2011年06月05日

家事がダメな自分

固定観念を捨てた家事の再構築
本書は、これまでに無かった、ビジネス書のような家事本です。

これまで家事本といえば、主婦が対象でした。カリスマ主婦のあこがれの
ライフスタイルをビジュアルに表現した本だったり、家事が趣味という
くらいの、いわば「家事職人」向けのノウハウ羅列の本だったり。

でも、潜在的には、家事が苦手だったり、共働きの子育て世帯や、
介護で忙しい世帯、高齢で家事の負担感が増している世帯など、
様々な家事の負担軽減のための効率化に切実な人々がいるはずです。

家事の効率化のノウハウを紹介している本は、これまでにも
あったわけですが、そのノウハウは、主婦向けで、
「お金をかけずに創意工夫」という観点のものが主流でした。
まずは、お金の節約ありきという偏りがあって、時間や労力の負担は
あまり重視されていないノウハウが多かったのです。

本書は、忙しくて切羽詰まった状況で家事を「本当に効率化する」必要
にせまられた人にとって、とても役に立つ良書です。

そして、本書で言うところの「ゼロ地点家事」、つまり、マイナスに
転じた状態(汚れる、散らかる)を、洗う、片付けるといった、元の
ゼロの状態に戻すための家事は、日常の家事の大部分を占めている
わけですが、このゼロ地点家事を効率化することは、
実は切羽詰まった人だけではなく、家事が好きで楽しみという人は
もちろん、誰にとっても、必要なことだと思います。

本書は、ゼロ地点家事を効率化して、生活をより良く楽しむための
家事の余裕を生み出すという発想の転換を提唱しています。

固定観念を捨てた家事の再構築をするための手助けになる
本書をおすすめします。

家事がダメな自分にはうってつけの一冊。
出来れば、家事には係わりたくない。基本がそうした考え方だったので、家事についての本なんて、手に取ろうと思ったことは一切ありませんでした。
しかし。人は必ず、家事に向かい合わなきゃならない時が来るものなのですね。でも、いざそうした状況になった時、「効率のいい家事のやりかたなんだけどさ?」なんて、気恥ずかしくって、気軽に人には訊けなくって、結局本に頼らざるを得ませんでした。でも。こうしろああしろのノウハウの羅列本じゃ、巧くいく気がしないし、好きじゃない。こんな自分に無理なく出来る家事の手法を教えてくれる本はないかしらん?と探してたら、本書にぶつかった次第。気に入ったのは、ビジネス書のような家事本、ってところ。男にしてみれば、ビジネスの発想で家事を再構築するフレームワークの提案ってのは、入りやすく、実際、とても分かりやすく読みやすい本でした。
家事=日常なので、無理なく長続きさせることが重要。
ビジネス発想でやる楽しい家事、これはイケると思います。

脳の活性化
こんな視点ははじめてだ。とにかくかたづけが苦手な人間にとって、これは新しい視点。やる気にさせるテクニックが満載。イラストや図解が入っているので覚えやすいし、具体的な商品も紹介されているので家事を省力化する方法がわかりやすい。めうろこの新発想の数々!

やれば得する!ビジネス発想家事 (オトナビ・ブックス)
ももせいづみ
ボーイフレンドデニム
ニックネーム K at 21:36 | 日記

暮らし上手

ヒント
こんな時代なので何かには役立つと思います。ちょっとした暮らしのヒント、節約だけではなく楽しく過ごせるノウハウが書いてあります。参考に。

家事のイメージが変わりました
実家を出ることになり、今までやってこなかった家事をすることに。
まったく自信がなかったので「家事の本を」とこちらの本を購入しました。

これまで家事は「めんどくさいもの」だと思っていましたが、イメージが変わりました。
著者の家事には美学があります。

家事を楽しんですることができそうです。

日本のお母さん
家事本として手に取ったこの本。
読んでいると、お母さんに様々なことを教えてもらっている気持ちになります。
清く、正しく、美しく。
しゃんと姿勢を正し、エプロンをつけて家事をしたくなる本です。
本棚の目立つ場所に立てかけています。


暮し上手の家事ノート (知的生きかた文庫)
町田 貞子
ニックネーム K at 01:25 | 日記

2011年04月29日

ウィンナワルツの「真髄」を理解しきれない

クライバー(カルロス)のニューイヤー・コンサート1989&1992
こんなオレでも

妻が妊娠し、「胎児にはマタニティ・クラシックがお薦め」ってことで・・・ お腹にクラシックを聴かせてたら・・・ ひょんなことでこのオレがクラシックのCDを購入するとは・・・。 マタニティ・クラシックのために、YouTubeで「小澤征爾」と検索し、ラデツキーを聴いてたことがこのCDを購入するきっかけでした。関連動画を見てみると、いろんなおっつさんがラデツキーを指揮しているじゃないですか。その中で目立ってたのが(振り姿も含めて)カルロス・クライバーでした。 この素人のオレでも明らかに他の指揮者と違うと感じました。次第に興味が芽生えついに人生初のクラシックCDを買ってしまいました・・・(実はレンタルショップに89,92ニューイヤーがなかったので) 営業車の中で毎日聴いています。 特に田園ポルカ、こうもり、ハンガリー万歳、騎士パズマン、雷鳴と電光、美しく青きドナウ、ラデツキー行進曲が好きです。 クライバーの伝記も買ってしまい、はまってしまいました。 次はDVD買おうかな・・・  2008年ジョルジュ・プレートルも良かったな・・・ まあ、このお値段なら、気になったら買ったほうがいいですよ

良いんですけど

89年の録音では、後ろの打楽器が、0、2ー0、4秒遅れるのがとても気になります。
全体としてはとても良い録音なのですけどね。

ニューイヤーズのディスクを買う自分が信じられないけど…

日本人の私には、ウィンナワルツの「真髄」を理解しきれないせいもあり、
毎年正月のテレビ放映を楽しく視聴しつつも、
本音を言えば頼まれても行かないであろう、と。勿論ディスク購入には至りませんでした。
ただし!クライバーが振った年は例外。

ドナウもラデツキーも、これが本流だったのだと自己の不明を痛感。
「あのラデツキーのテンポでは一緒に拍手できない」という声も一部にあったそうですが、
それはその人にリズム感がないからだ、とはっきり断言できます。
異常なテンポなどでは全くありません。
彼の十八番の「こうもり」(89年)、「雷鳴と雷光」(92年)は勿論のこと、
見事飛ばせた「とんぼ」(89年)、眩暈がするほどうっとりの「天体の音楽」(92年)は
他の指揮者ではできなかった、素晴らしい演奏です。
それにどちらの年も、彼の選曲は趣味がいい。

追悼盤でクライバーの2年分が一組になり、バラ売り時のカット曲も復活。お買い得。


ニューイヤー・コンサート1989&1992

ポーターガール
ニックネーム K at 17:24 | 日記

2010年10月25日

太宰 治のお伽草紙

リアリズムの相違:太宰 VS 西鶴
 第二次大戦中、作者30代の所謂「中期」の作品集。家庭を持った物書きとして、まともな市民たろうと太宰が頑張っていたこの頃の作品は、彼の自虐的な作風が抑えられた読みやすいものが多く、僕も好きな作品が集中している。この本に収められた作品は日本のお伽噺や古典の再解釈、もしくは中国古典をまねた創作などが詰まっているが、どれも人間というものへの厳しい洞察が入った惨い話にまとまっているのが太宰らしい。

 この惨さをリアリズムと言い換えても良いのだが、僕が今回お目当てだったのは西鶴の諸作品のパロディを集めた「新釈諸国噺」である。本家の方も金や義理、色、堕落などに溺れる人間の悲哀を描いた悲劇を得意とした作家だが、太宰は西鶴の作品にはそれ程大胆な解釈を与えてないんじゃないかと思う。かなり色んな本から抜粋してきた話を纏めているので、もしかしたら戦時中の厳しい出版事情から古典に沈潜せざるを得なくなって習作的に纏めた企画だったのかもしれない。

 近代小説は登場人物の確固たる「内面」「人格」を描くところに方法論があるが、西鶴のリアリティの凄いところは、一つのごく短かい作品の中で主人公の人格がゴロゴロと変化するところにある。登場した時には倹約家だったり無垢な少女だったのが、物語の途中では放蕩や悪行を極め、最後にはまた別の人格に変わっていくのだが、その時は既に遅く悲劇が待ち受けている。こういうキャラの変化がたった数ページの中で非常にあっさりと書かれているのだが、逆に僕はその突き放した人間観に江戸のリアリティの凄みを見る。本書所収の太宰の短編作品のリアリティは逆に一つの「人格」の闇や凄みに迫っていこうというベクトルのものだが、両者の違いはそのまま、近代小説と江戸の戯作物のリアリティの違いでもある。そして、金や欲だけでなく色んなものによって人間がガラリと変わっていくことを何度も経験した40手前のオサーンの僕にとって、最近は西鶴のリアリティの方が怖くて新鮮だったりする。色んなことを思い出してしまうのに、怖いもの見たさで読んでしまうというか。いや、結局どちらも洞察における突き放しっぷりはお見事なんですけど、太宰の場合そこに自虐の味が混ざるからまた複雑で、そこが良いという人は五つ星をつけるでしょう。

惚れたが悪いか! "カチカチ山"
子供の頃読んだ"カチカチ山"に再会。
愕然としました。
どうしてかって ?
そこに書かれているうさぎの姿はまるで私そのものだったからです。
どうして私の事をこんなによく知ってるのか、と思うほど
まるで見てきたような描写に怒りと可笑しさで体が熱くなりました。

それにしても狸の醜態ぶりには同情を禁じえない。
何もここまで書かなくても・・と思えるのだが、
これが女性に甘える太宰の奥の手かもしれない。
ついつい何度も読み返してしまうのは狸に(太宰に)化かされたんだろうか ?
私としたことが...

「清貧譚」だけの評です
昔々、高校教科書で読んだ「清貧譚」をふと読み返してみました。聊斎志異が下敷きということですが、これって、ものすごく現代的なファンタジーではないですか。

ひどく貧乏な三十二歳の独身男、才之助を大卒でブラブラしている男。その彼が入れ込んでいる菊作りを、フィギュアづくりに置き換えて読み進めると、フィギュアの精が空から降りてくる、すごおくよくある萌え系のコメディとして読めます。

少し引用。

…けれどもその夜、才之助の汚い寝所に、ひらりと風に乗って白い柔らかい蝶が忍び入った。「清貧は、いやじゃないわ」と言って、くつくつ笑った。娘の名は黄英といった。

(引用終わり)

ねっ、本当にそうとしか読めないでしょう。ちょっと引用が短すぎてわからないと思ったら是非原文に当たって下さい。小品なので10分もあれば読み切れます。

この一作だけでも本書は読む価値ありと思います。

お伽草紙

シャネル カメリア
ニックネーム K at 17:47 | 話題

2010年10月24日

ベタではなかった

どこか薄い感じがする。
読んでいて引き込まれる箇所があまり少なかった。

僕自身ゲイとして生活しているからこそ分かる現実的な部分がなかったのが、共感を得られない原因だったかもしれないが、単純にゲイとして生きる苦しさが余り伝わって来なかった。

非常にぼんやりとしていて、申し訳ないが、心の葛藤が余り描かれていないような印象を受けた。

ストレートとは違って、人前で手もつなぐことさえもためらわざるを得ないような制約が多い中、
どうしたら好きな人とつながることが出来るのか、単純に同性愛という特殊性にばかり焦点を当てるだけでなく、純粋に人を愛することがこんなにも難しいのかという
ことを、もっと描いていれば、ゲイが読んでも非常に勉強になると思った。

ただの同性愛じゃない。
表紙からしてセクシー過ぎ…って手に取るのを躊躇したのですが、恥ずかしながら切なすぎる愛に泣きました。
BLだからって、そんなシーンばかりではなく、とにかく感情の揺れがたまらないですね。
でも、その何年後…のストーリーは「えっ、ほんとに!?」ってくらいあっさりしていて、手ぇ抜いた?って感じでした。残念。

ベタではなかった
たいへん期待して『But Beautiful』を読み始めたところ、「あ、ベタだ」という感想をいきなり持ちました。女が書いたゲイ小説という感じ。どこか美少年同士の表面的な愛情のような。文章が上手いので気にせず読み進めていきましたが、お姉さんの行動が理解できない。私は弟がいないのでよく分かりませんが、夫の裏切りに出会ったときに、うちの弟に何をするんだ、みたいな気持ちになるものなのでしょうか。妹であれば決してそういう風にはならないんじゃないかと思いますが(想像しただけで気持ちが悪いが)……。そういうこともあるのかなあ、みたいな微妙な感じでした。
『What's New?』のほうが、断然、愛を感じました。これは自然に感情移入できる。
比留間久夫の『Yesyesyes』や福島次郎の『バスタオル』みたいに、この本も、また読み返したいと思わせる文体でした。
しかし、この表紙はなんとかしてもらえないでしょうか。モデルが悪いと言っているわけではないのです。脇がちょっと……。この表紙の本を人前で読むのはとても勇気が要るでしょう。

きみの背中で、僕は溺れる
沢木 まひろ

マックスファクター SK-2
ニックネーム K at 16:43 | 話題